亡くなった彼も私も
まだまだ平均寿命で死別するような年齢ではありませんでした。
亡くなる数日前もいつも通りに過ごしていました。
もう会えなくなるなんて知らずに、くだらないどうでもいい話をしていました。
何十年も経ったらいつかは先にどちらかの自然な寿命が来て
お別れする日が来ると思っていました。
その時のことを想像すると、今はお別れなんて考えられないので
- 亡くなった人がそばにいるような気がする
- 亡くなった人が近くにいるような感じがする
それはどういうことなのか、その意味を理解できませんでした。
声を聴いて声で返して会話をしたり、一緒に出かけてお話しながら色んなものを見たり、
それができなくなるなんて考えられなくて
現実で関わることができない状態で「そばにいる気がする」とはどういうことなのか、
イメージが湧きませんでした。
遠い将来、私が80歳や90歳になった時に
その時は、その意味を受け入れられるのかなと考えていました。
今の時点では、もう現実では絶対に会えない、お話できないなんて
とても受け入れられないと思っていました。
そしてある時、まだ若いのに彼が体の病気による突然死で亡くなってしまいました。
現実で会えないことが悲しいとしか思えなかった
彼が亡くなってから、パキッ、ピキッという
ラップ音や家鳴りと呼ばれる音は確かにたくさん鳴りましたが
晴れたり雨が降ったり暑かったり寒かったりして天気や気温の差も激しくて
季節の変わり目なので自然現象として不思議ではないと思いました。

目を閉じれば心の中にいる亡くなった人と会話できる、思い出に触れることができる
という考え方もありますが
今はまだ、思い出を懐かしむことができるほど現実を受け入れることができません。
彼が亡くなったことはわかっています。
現実ではもう二度と会えないこと、電話もメールもできないことはわかっています。
彼がこの世にはもういないという現実はわかっているのですが
あの時ああしていればこうしていればという気持ちが止まらなくて
一緒にあれしたかったなこれしたかったなという想いが止まらなくて
事実は把握しているのですが心が追いついていない状態です。
メロディと歌詞が浮かんで亡くなった人がそばにいるような気がした
彼が亡くなってから、私は心を凍らせて彼のことを思い出さないようにして
悲しみや不安から身を守っているので日中や夜は意外と平然を保てるのですが
朝起きた時にモヤモヤして、これはどうにも止めることができません。
彼とは長い年月を経て、全く喧嘩をしなくなりました。
過去に彼に酷いことを言ってしまって申し訳ないという気持ち、そして、彼が大切だから傷つけたくない、私をたくさん大事にしてくれたから裏切りたくないという気持ちが芽生えて喧嘩しなくなりました。
そこまでの信頼関係を得る以前は、彼を傷つけたこともたくさんあります。彼も最初から私に優しかったわけではなく長い間キツイ言葉をかけていました。仲が悪いのではなく言いたい放題言える関係でした。お互い様だったので、彼の生前は強い罪悪感のようなものはありませんでした。
私は良い人ではありませんでした。彼とは喧嘩もたくさんしたし酷いこともたくさん言いました。
だから起床時のこのモヤモヤは、もしかしたら彼が私のことを憎んでいたり恨んでいたり怒っているからかもしれないと思いました。そう思っていたら突然、
ある曲の最後のワンフレーズが浮かびました。
4小節くらい、短く、メロディと歌詞が思い浮かびました。
何の曲かはわからなかったので、その最後のワンフレーズをインターネットで検索しました。
誰の何て言う曲なのかわかりました。その曲の歌詞を見ました。
- 再会できた
- 出会えたのは偶然ではない
という意味の言葉が入っている曲でした。
有名な曲なので多くの人が知っている曲だと思います。
その曲は知ってはいますが特に聞いていたわけではない曲です。そして、
彼が好きだった、彼と聞いていたというわけでもなかったので
彼が亡くなったことをまだ思い出にできない私でも聴くのが辛いと感じることはなくて、すんなり聞くことができました。
最初から最後まで、
もし彼がそう思ってくれているなら嬉しいなと思う言葉が詰まった歌詞でした。
今までその曲に特に興味はなく今回初めて意識して歌詞を読んだので、見たことのない歌詞のように新鮮に感じました。
彼とは長年一緒にいてプチ喧嘩はありましたが別れたことはなかったので
歌詞の「再会できた」という言葉に彼の想いをのせたのであれば
再会できたというのは
この世で知り合って一旦疎遠になったけどまた再会できたという意味ではなくて
前世でも一緒にいて、今世でも再会できた、だから来世でも再会できるよ
という意味なのかな、そうだったらいいなと私は思っています。

亡くなった人がそばにいるような気がする、近くにいるような感覚って
こういうことなのかなって思いました。
夢で会う、音がする、香りがする、声が聞こえる、電気には乗りやすいという説もあって動かないはずの電化製品が動く、気配を感じる、不思議なことが起きるなど、亡くなった人に会える時、伝え方や会い方は人それぞれなのだと思います。
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